投稿

12月, 2022の投稿を表示しています

「鬼滅の刃」1〜23巻 吾峠 呼世晴(著)、読了。

私はいつも流行について行けずにいる人生なのであるが、とっくの昔に連載が終わったらしいこの漫画を読んだ。 きっかけは博物館に展示されていた「柱展」を見に行ったことである。 この漫画のあらすじを知っていらっしゃる方は、「柱」が何かご存知であろう。 ざっくりと説明すると、鬼を倒す強い剣士9人が「柱」と呼ばれる。 この「柱」の中には、主人公が入っていない。 主人公不在の展示など、私はそれだけで驚いた。 普通は「主人公ありき」だと思うのだが、『鬼滅の刃』という物語が他と違うのはこういう点なのかもしれない。 物語内容はざっくりとしか把握しておらず、数年前にマンガの一巻を読んだのと、何かしらでアニメを数話だけ見たのと。 そんなに予備知識もないまま、私は柱展を見に行った。 私はなぜこの展示を見に行ったのかというと 「何が多くの人を惹きつけるのか」 ということが知りたかったから。 結局はっきりわからなかったが、私の想像ではキャラクターそれぞれの人生がしっかりとあって、誰もが何かしら共感する部分を持っているのではなかろうかと。 展示の柱各々に年譜が展示してあり、柱たちは他より超越した力を持ちながらも、人生の荒波を経験してきて現在に至っていること。 見る側に、何かしらの共感する部分があるのではなかろうか。 入場時にカードを頂いたのだが、自分が欲しい柱のイラストが選べる。 私は「胡蝶しのぶ」さんにした。 (やはり人気は煉獄さんらしい。) 本当に大した予備知識もなく展示を見に来たのだが、このカード、裏面にQRコードがあり、そこにアクセスすると胡蝶しのぶさんの声が聞けるのだった(内容については触れずにおく)。展示の会期中だけアクセスできる。 話は戻って、展示がきっかけで漫画を読んだのだが。 私は23巻が終わっているのに驚いた。 天下のジャンプで、これだけの大人気漫画であれば、大人の事情で長い連載を強いられそうなものだが。 きっと担当の方も物語を見極める素敵な人がついていたのだろうと思う。 この漫画を読み終わった時に、私はウルトラマンを思い出していた。 私の中のウルトラマンは怪獣を倒すために、キックの練習などを地道にしていたのが記憶に残っていて。 「あんな戦いをするためには、やはり練習をするのだな。」 と幼心に感動したのだった。 当時、小さいながらも「いきなり強くなったわけではない」ということを...

人を描くということ。

 満たされると描けなくなるのではないか。 という事は、いつも思っていた。 夏までは描きたかった。ドラマで俳優さんをみていたら、描きたくなった。その画面の演出がすごく好きで、監督は誰なのかまで調べたくらいだ。それで7、8月と人物ばかり描いていたら、人間の奥底を見つめることになった。 私は人間が苦手だ。 人間を見つめることになれば、心を蝕む事は想像していた。 今まで人を描くことを避けていたし、描きたいとも思わなかった。 「人間が好きじゃなければ、絵描きにはなれない」という言葉を小さい頃に聞いたことがあった。それがずっと心に残っていた。 人間を描こうとした。 筋肉の作り。 本を読んだ。 踏み込んだことのない美大の予備校にも踏み込んで、自分が目指す人物画を描こうとした。 8月末から体調が悪くなった。 人を、人間という動物を、見るのが嫌になった。 9、10月に倒れた。 人という生き物の嫌な部分を自ら探って描こうとしている。 私は、今年の夏はそれでも人間を描きたかった。 秋に倒れてずっと眠っていた。 そうしたら、全てがキラキラと美しく、そして素晴らしく思った。 全てに感謝した。 朝、目覚めること。 ご飯を食べれること。 屋根があって。 お布団で眠れること。 充実してしまった。 満たされてしまったのだった。 あのドス黒い感情で、描こうとしていた自分が消えてしまった。 美しい気持ちでは描けない画題だった。 でも、自分に訳のわからない使命感を持って、来年は描くために、今、準備をしている。 そのものの向こう側、どうか見えますように。 私の描くものにそれが描けますように。