投稿

12月, 2022の投稿を表示しています

『もっと「好き」の因数分解』最果タヒ(著)、読了。

そうだな。 この方の展示を見に行ったことがある。 街のギャラリーであった。 その展示は、印象に残る言葉の組み合わせを多く見た。 懐かしいな。 そのギャラリーは今はもう無い。 あんな風なギャラリーはもう私が住む街には作らないのではないかな。 谷川俊太郎さんの展示も過去、見に行ったことがある。 言葉を扱う人で有名になる方は、必ず万人に伝わるかということをしっかり考えていらっしゃる。 万人に好かれるものを作る人は、その人自身に興味を持たれる訳で。 エッセイというのは、ファンにとってはとても嬉しい読み物ではないだろうか。 この本は、著者の好きなものについて。 その数、56個。 ライブハウス、オペラケーキ、コメダ珈琲店、植物園、花屋、オパール、船旅、レース、薔薇、真珠、ムーミンシリーズ… などなど 前作に『「好き」の因数分解』という本があるらしいが、私はそちらを読んでいない。 作品とは自分を晒すことだ。 詩人は言葉の使い方で、その人自身をさらしている訳であるから、この方の核みたいなものが本当に見えるエッセイだと思う。 最果タヒさんがどんな方なのか、それが顕著にわかる本だと思う。 最果さんの詩を読んで好きになった人がこれを読んだら、もっと好きになるのではないかな。 万人が持たない感受性がここにある、という印象の内容であった。 最果さんが好きなものの中に「RRR」があった。 インド映画である。 「落雷と祝福」の著者、岡本真帆さんも好きなものの中に「RRR」を挙げていた。 私はずっと気になっていた「RRR」が。 言葉を操る方方が好きな「RRR」!! ぜったい面白いに違いない。 調べると3時間の超大作であった。 来月、見る機会があるので見る予定でいる。 この本の全体的な印象は「誰からも愛されるお手本」という感じだった。 それは嫌味ではなく、わかりやすい言葉でみんなの心をつかむことが上手だということを私は言いたい。 実に、うらやましい。 私は言葉の使いかたが上手ではない。 だから、できるだけいつも気を付けて話すようにしているが、どうだろう。 うまく伝わっていない気がする。 私もなにか自分の「好き」なものを探ってみようかな。 そんな気持ちにさせる本であった。 「何が好きか?」と聞かれると、そんなにサッと出てこない気がする。 そうだな、好きなものを探してみよう。 そして、へたくそな言葉使い...

人を描くということ。

 満たされると描けなくなるのではないか。 という事は、いつも思っていた。 夏までは描きたかった。ドラマで俳優さんをみていたら、描きたくなった。その画面の演出がすごく好きで、監督は誰なのかまで調べたくらいだ。それで7、8月と人物ばかり描いていたら、人間の奥底を見つめることになった。 私は人間が苦手だ。 人間を見つめることになれば、心を蝕む事は想像していた。 今まで人を描くことを避けていたし、描きたいとも思わなかった。 「人間が好きじゃなければ、絵描きにはなれない」という言葉を小さい頃に聞いたことがあった。それがずっと心に残っていた。 人間を描こうとした。 筋肉の作り。 本を読んだ。 踏み込んだことのない美大の予備校にも踏み込んで、自分が目指す人物画を描こうとした。 8月末から体調が悪くなった。 人を、人間という動物を、見るのが嫌になった。 9、10月に倒れた。 人という生き物の嫌な部分を自ら探って描こうとしている。 私は、今年の夏はそれでも人間を描きたかった。 秋に倒れてずっと眠っていた。 そうしたら、全てがキラキラと美しく、そして素晴らしく思った。 全てに感謝した。 朝、目覚めること。 ご飯を食べれること。 屋根があって。 お布団で眠れること。 充実してしまった。 満たされてしまったのだった。 あのドス黒い感情で、描こうとしていた自分が消えてしまった。 美しい気持ちでは描けない画題だった。 でも、自分に訳のわからない使命感を持って、来年は描くために、今、準備をしている。 そのものの向こう側、どうか見えますように。 私の描くものにそれが描けますように。